リチャードブログ

思いの丈をつづります

変なおじさんについての日記9

変なおじさんとはスタンプだけの会話になりつつあったので

連絡を取るのをやめていたのだが
先週金曜日突然下記メールが来たのだ。
 
おじさんLINE:
11日か12日どっちか空いてたらご飯行かない?
あと映画のチケット大体持ってるんだけど何かみたいのある?
あと日曜空いてたら美術館行かない?
 
 
 
急にいっぱいありがとうございます!!
 
 
 
一年ぶりにおばあちゃんの家に遊びに行ったら
 
「みかんあるよ!食べる?コタツあっためといたから入りなさい。今朝おじいちゃんが市場でブリ買ってきてくれたんだよ、そうそう、隣の山田さんからおせんべいもらってこれも食べてね」
「おばあちゃんわかった分かった落ち着いて」
「もうあんた1年も顔見せんもんで次いつ来るかわからんに」
 
と言われているような気分だった。
 
 
 
できれば小分けにして欲しかったがまた誘ってくれて嬉しかった。
 
 
このメールはビジネスメールのごとく
下記のようなインラインで回答したいタイプのメールであったが、
 
わたしLINE:
>11日か12日どっちか空いてたらご飯行かない?
→両日とも生憎ながら空いていない状況でございます。
>あと映画のチケット大体持ってるんだけど何かみたいのある?
→本来は妖怪ウォッチを鑑賞したいのですが、貴殿のご趣味も配慮したいと考えております。
>あと日曜空いてたら美術館行かない?
→日曜日は時間によっては可能でございます。何時頃をご希望でいらっしゃいますでしょうか。
 
 
実際は可愛らしく絵文字を交え下記返信をした。
 
わたしLINE:
11,12は予定があって...🐵💦
映画は見るとしたら妖怪ウォッチがいいです💓
日曜日、美術館もしかしたら行けるかもしれないです、何時くらいでしょうか(・・?
 
 
おじさんLINE:
あした一人スキー行ってくる( ・ω・)ノ
 
 
 
フルシカト!!!
そしてまた一人でスキー行くんですか?
日曜日の美術館は???いかないの;;
 
 
妖怪ウォッチというコアな趣味が良くなかったのかもしれない。
おじさんはスキーへ行くと夢中になって
連絡が取れなくなる節があるので明日は連絡を待たないほうが良さそうだ。
 
 
案の定、土曜日は返信が来なかった。
 
 
日曜日のお昼、ついにおじさんからLINEが来た。
 
PM13:30
おじさんLINE:16時半ころどう?
わたしLINE:大丈夫です。夜から予定あるので18時位には出ないといけないのですが。
おじさんLINE:OKスタンプ
 
PM14:00
おじさんLINE:やっぱり18時でもいい?
 
 
だめだ。
18時はだめだ。
18時位には出ないといけないと伝えたではないか!
美術館デートはやめて、ひと目会う方向に変更したのだろうか。
 
ひと目会うために会ってくれるのは嬉しいが
アートディレクターのおじさんと美術館デートはとても魅力的だから美術館に行きたい。
 
きっといろいろと説明を交えてくれるのだろう。
この絵は〜をインスピレーションしていて
実際は〜ような工程で描かれているんだ。
最近はコンピュータも発達してこの色彩はコンピュータにより発色されているんだよ。などなど。
 
ますます好きになってしまいそうだ。
おじさんのフィールドに持ってかれてしまった。
 
 
PM14:10
わたしLINE:18時から予定があるので18時からは難しいかもしれないです。
 
なんて優しいメールなのだ!
18時から予定がある、といえば通常18時から難しいことはわかるはずだが
おじさんにはこう言わないと通じないのかもしれない。
デジャヴのような一文を送ったところ
 
PM14:11
 おじさんLINE:16時半ヒルズ前で( ・ω・)ノ
 
 
ようやくおじさんと会えることになった。
実に10日ぶりである。
 
 
 
美術館の前で待ち合わせをした。
おじさんの装いは
ブルーのスウェット、白シャツ(NEW!)、辛子色のモッズコート、暖かかったせいかいつものベージュ地にピンクのオネエスタイルのストールはしていなかった。
 
 
森美術館の入り口には沢山の人がいて、
なんと50分待ちだった。
本日は10月から開催されていたイベントの最終日だからだ。
半年も開催されていたのに人間とは締切が迫らないと行動に移せない生き物である。
 
 
しかしおじさんとなら50分の待ち時間も苦痛ではない。
 
わたし「おじさん夏休みの宿題最終日にやるタイプでした?」
おじさん「そうだね。これがなかったらもっと大成してたのにってよく言われる。」
やはりだ。
 
おじさん「大学も全然受からなくて、知り合いがコネで女子美大なら入れてやるよ〜って言われてたんだけど」
その知り合いは怪しい。
 
 
するとおじさんが急に顔を背ける。
 
 
グシュンッ、グシュンッ、グシュン!!!
 
 
わたし「花粉症ですか?」
おじさん「いや、違うよ」
 と言って振り向いたおじさんの眼鏡は真っ白であった。
 
 おじさん「そう、それで女子美大なら入れてやるよって言われたんだけど嫌じゃん。5回くらい受けてようやく受かったんだけど・・・・・・〜で〜〜だったkら・・・」
眼鏡が曇っていて話が入ってこない。
おじさんは眼鏡が曇っていることは物ともせず話を続ける。
あとおじさんはきっと花粉症だ。
変なおじさんの日記1でも突然クシャミをしている。
 
 
おじさんの眼鏡内の水蒸気が寒気により気体へ溶け込んだ頃、
おじさんはたくさん持っている映画のチケットを紹介してくれた。
 
 
おじさん「これとこれは確実に行かないからあげる」
わたし「えっいいんですか?ありがとうございます。」
おじさん「今度このスティーブジョブズ見に行こうよ〜」 
わたし「それは見ちゃったんです、って前言わなかったでしたっけ?」
おじさん「ゔゔ〜」
なんとも言えない表情をしていて可愛い♡
 
 
結局50分も待つことなく20分くらいで館内へ入場できた。
入口では斎藤工の声でアナウンスをしてくれる機械を貸出していた。
 
おじさん「斎藤工の声聞きたい?」
わたし「うんん、おじさん説明してくれるでしょ♪」
美術館でのおじさんの輝きにわたしは酷く期待していた。
おじさん「浜ちゃんの説明でいいの?え〜っと、この絵画は村上隆氏が〜」
と壁に書いてある説明をそのまま読んでいる。
 
わたし「壁の読んでるでしょ!」
浜ちゃん「バレた?」
 
イチャついてしまった。。
 
 
おじさんがどのようにアートを眺めるかとても興味があったが、
斎藤工の代わりに説明してくれることもなく、
淡々と普通の速度で鑑賞していた。
 
 
村上隆氏の作品は色鮮やかで見て楽しめるものだったので
わたしの方が興味津々で食い入るように眺めてしまう場面もあった。
そんなときおじさんは隣でアクビをしていた。
3場面くらいでアクビをしていた。
 
わたし「眠いんですか?」
おじさん「うん、いつも眠いよ・・」
 
 
出口までさしかかったときには
時既に17:50だったので少し急ぎ足でヒルズを出なければと思った。
 
そういえばおじさんはなぜ当初18時を指定してきたのだろう。
わたし「おじさん最初どうして18時が良かったんですか?」
おじさん「髪切りに行きたくて。最初16時から予約してて、この前に行こうと思ったんだけど逆にしたの。」
わたし「そうだったんですね!予定合わせてくれてありがとうございます。
    髪、なんて注文するんですか?」
おじさん「ん?短くしてくださいって」
わたし「でもまた自分で切り直すんですよね?」
おじさん「揃い過ぎちゃうからね」
 
 
やっぱり変なおじさんである。
 
 
本日のデートはとても楽しかった。
早足で帰ろうとすると、
おじさん「帰っちゃうの?今度はご飯しようね」
と名残惜しそうな表情を見せた。
 
 
翌日もLINEを送ってくれたし
「わたし>>>>>>>>おじさん」
だった気持ちが
「わたし<<おじさん」
になりつつあるのを感じた。
 
 
手に入れられると思うと欲しくなくなるこの性格、なんとかしたい。