又吉直樹の劇場、なかなか良かった
映画で見たのですが。
ツッコミどころも満載だったけど、後半すごくよかった。
ツッコミどころは
・主人公がほぼ又吉直樹だった
・作家又吉直樹ならいいけど、お笑い芸人又吉直樹も時々入る
・不自然な関西弁
あたり。
最初は全然感情移入できないんだけど、後半すごく感情移入できてボロボロ泣いた。
これほど泣いた映画は久しぶり。
心動かされたな。
私の好きな考えさせられる系でした。
そして父になるって見たことありますか?
ちょっとアレに似た感情を感じることができた。
要約としては目が出ない金のない脚本家と、めちゃくちゃ素直で可愛い女の子の話。
2人は付き合うんだけど、気づけば(おそらく)7〜8年経ってるの。
待てなくなった女の子が気をたしかに持てなくなって、実家の青森に帰ることで2人は別れるって話。
この脚本家、なかなかひどくて、悪い人ではないんだけど、女の子の優しさに甘えまくり。
前半は男の最悪な部分ばかり描かれるから全然感情移入できない。
・家賃払わない
・わずかばかりの稼ぎで自分の欲しいものは糸目なく買う
彼女への愛はあるんだけど、プライドが高過ぎて可愛げがない感じ。
そんな中、話は展開する。
同棲は創作活動に向いてないからって同棲を解消してから、男の人間味が出てきて泣けてくる。
夜中、女の家に行って隣で寝たり。
成長してない自分が嫌いで酒に酔った状態でしか顔を合わせられなかったり。
この辺りから、彼女はバイト先の店長とたぶん付き合うようになる。
「彼女の家に夜こっそり遊びに行くけど、彼女がいないこともあった」って言うナレーションが入るけど、これを描写しないのは又吉のプライドなの?って思った。
彼女が家にいないから、彼女のバイト先に行ってみると、「店長と帰りましたよ」と言われる。
「店長の家、どこでしたっけ?」
と家を確認して付近へ向かうと、彼女の自転車が。
自転車のベルを鳴らして彼女が出てきて、2人乗りして桜見に行くシーンが最高!
ハイライトだと思う。
このシーンで初めて男が彼女に気を使う言葉が溢れ出る。
桜の公園まで男がノンストップで話し続け、彼女が後ろで泣いている。
そして、彼女はだんだん壊れていく。
男は劇団の仲間に「お前、才能ないって思われてるの気づいてるよな?でも、サキちゃん(彼女)だけにはそう思われたくないんだろ。彼女を苦しめてるよ。別れた方がいい」と言われる。
このシーンで初めて男の葛藤が言語化されて視聴者にはっきりと伝わった。
そうか、この男は彼女にだけは才能がないことを気づかれたくなかったんだ。
彼女の方は、きっと彼に才能がないってことは分かりつつも良い子だから、いつか彼氏が花開きますようにって願ってだと思う。
この映画が言いたかったことは一つじゃないと思うけど、私は「時間の大切さ」を感じました。
20〜27.8の大切な時間を1人の人に費やしてしまい、人生立ち行かなかなった女の子。時間は取り戻せない。
こんないい子ならたくさんいい男いるのに。
東京って変な街だから気をつけないとね。
でも、幸せだったとも思うんだ。
だってお互いがいなかなったら生きていけないくらい信頼しあえてる関係のひとと出会えて7〜8年も一緒にいれたんだから。
こういう存在の人と出会えた人って多くはないんじゃないかな?
夫婦でもここまでの関係にならないこともあるよね。
何が正しかったかなんて分からない。
最後は、彼女が青森に帰る前日、2人で荷物整理している場面。男が自分が金持ちになったらサキちゃんにできなかったこと全部やってあげるっていろいろ想像膨らましていくの。
別れって辛いよね。
その場面を乗り越えれば、あとは思い出すこともほとんどないし楽になれるんだけど。すごく体力使う。
男と女で感情移入する方が変わるから、見方変わるんじゃないかな?って映画でした。