警察沙汰の話1
AM8:30「ピンポーン」
ある週末の朝ベットでグーグー寝ていたら
インターホンが鳴って目が覚めた。
チラッと見るとインターホンの待受画面が暗い。
私の家はオートロックだから下で鳴らされていれば顔が映るはずだ。
ということは玄関前でならされているチャイムだ。
怖い。
怖い時は出ないに限る。
もしかしたらamazonで同マンションの他の住人にお届けしたついでに鳴らしているのかもしれない。
何か頼んだっけ…
そんなに頭は働かない。
まぁamazonだとしても下の宅配BOXに入れてくれるから無視して平気だ。
こういう時普通の人は気になって再び眠りにつくことか難しいのだろう。
しかし幼少の頃からの英才教育によりロングスリーパーを極めた私は多少の恐怖を感じたこんな時でもすぐに寝られる自信がある。
幼い頃、両親はわたしが夜更かしをしない良い子でいる教育を徹底した。
睡眠こそが頭を整理し、学校で習った授業を自動的に記憶に留めてくれるのだと教えられた。
そのため小学校時代は10時間睡眠を強いられた。
大好きだったナースのお仕事が始まる9時になると録画出来ているか指差し確認して大人しく部屋へ行って寝に行っていた。
中学校時代は8時間睡眠を強いられた。
7時起床のため11時までは起きていられる。
9時スタートのドラマ、ナースのお仕事が見られるじゃないかと思ったが中学校になった時にはナースのお仕事はシリーズ終了していた。
高校時代も8時間睡眠だった。
受験期にもこれはゆるぎなかった。
この頃になるともはや洗脳は完了しており、
寝れば寝るほど頭が良くなると思っていた。
徹夜で一夜漬けしてテストに挑むクラスの友人を見ては馬鹿にしていた。
そしてなぜかコーヒーと銀杏は馬鹿になるとの教育も受けており、その名残で今もコーヒーは飲めない。
このようにロングスリーパーのわたしは
怖いインターホンが鳴っても再び眠りにつこうとした。
しかし
インターホンはすぐに再び鳴った。
そしてついに
コンコンコン
ドアをノックする音まで聞こえた。
怖い。
怖すぎる。
わたしは早く眠りについて忘れようとした。
が、さすがに何かがおかしいと思い、
玄関まで恐る恐る向かってみた。
鍵は上下に2つあり、
内鍵もかけられる仕様だ。
その時は上の鍵と内鍵をかけてあった。
玄関から数メートル離れて
ドアの方を凝視していたら
「ガチャ」鍵の回す音
「ガコッ」ドアが開いた。
「ドンッ」内鍵に引っかかってドアは途中までしか開かない。
半開きになった扉の向こうの男性と目があう。
1秒。
「ガンッ」すぐにドアが閉められた。
戦慄した。
最も戦慄したのは、
扉の向こう側の人の顔に見覚えがあったことだ。